味には自信がある。常連さんも来てくれる。それでも昼のピークが短くなり、夜は空席が目立つ。材料は上がり続け、値上げをしたいけれど、客が減るのが怖い。そんなラーメン店の店主の方へ。
先に結論を書きます。ラーメン店の多くは予約を取りません。お客さんは「近くのラーメン」をその場で地図で探し、写真と口コミで決めて、そのまま歩いて来ます。だから、お金をかける前に直すのは、地図の上のお店の顔です。当社が数えたラーメン店2,627店では、星はどの区分でも真ん中の値が4.1で、差がつきませんでした。差が出たのは、口コミが増える速さと、お知らせの投稿でした。
この記事では、ラーメン店の今の数字(倒産・原価・客数)、予約サイトが合いにくい理由、2,627店を数えて分かった差、今日直せる3つを書きます。東京商工リサーチ・帝国データバンク・日本政策金融公庫の発表と、当社の全国調査(2026年10月〜)をもとにしています。
味は良いのに、客が来ない
ネットの相談の場に、ラーメン店の方の声がありました。
ここ近年同業他社が立ち並び集客自体にもかげりが出て来ております
24年5か月続けたラーメン店。食材の高騰と人件費の高さで、閉店を考え始めている。(ラーメン店の店主・2026年9月・原文)味は評判が良く常連客も多いのですが場所が悪いせいか毎日暇で毎月赤字で困っています
月の売上は増えも減りもしない。どうすれば忙しくなるか。(ラーメン店の店主・2012年7月・原文)お客さんの入りがまばらで平均売上がだいたい10万程度
値上げを考えているが、客足がさらに減るのが心配。セットを足しても「ラーメン一杯で十分」というお客さんが多い。(ラーメン店で働く人・2024年9月・原文)
3つとも「味が悪い」とは書いていません。困っているのは、味を知ってもらう前の所です。近くに同じ業態が増えた。場所が少し外れている。値上げをしたら、来てくれていた人まで離れそう。
苦しいのは、あなたのお店だけではない
数字で見ると、ラーメン店は今、業界ごと厳しい所にいます。
- 倒産は2025年度に57件(前年度より21.2%増)。数え始めた2009年度から2番目の多さで、原因の80.7%(46件)が「販売不振」。資本金1千万円未満の小さな会社が85.9%でした(東京商工リサーチ・2026年4月発表)
- 材料の値段は5年で約1.4倍。豚骨ベースのラーメンの材料の値段を2020年=100として、2025年は141(帝国データバンクの「ラーメン原価指数」・東京都区部)
- 中華料理の店の75.8%が「値上げしきれない」。経営の困りごとに「仕入れや人件費の上昇を値段に乗せにくい」を挙げた割合で、「お客さんが減った」も33.3%。利用客数が増えた店から減った店を引いた数は▲24.3(日本政策金融公庫・2026年4〜6月・中華料理の区分の数字)
帝国データバンクは、倒産の数に入らない「個人店の閉業などを含めると、実際はより多くのラーメン店が市場から退出したとみられる」と書いています。一方で、同じ帝国データバンクの調べでは、ラーメン店の市場は2025年度に8,855億円と、10年前の1.6倍に広がっています。食べる人は減っていない。選ばれる店と、選ばれない店に分かれている、ということです。
お客さんがラーメン店を選ぶ基準は「味、美味しさ」が69.4%でした(中小企業基盤整備機構の調査・2023年7月・1,000人)。でも、初めてのお客さんは、まだ味を知りません。入る前に見られるのは、写真と口コミと、開いているかどうかだけです。
予約サイトが、ラーメン店に合いにくい理由
集客と聞くと、グルメサイトに載せることを考える方も多いと思います。ただ、予約サイトの料金は「予約1人ごと」が基本です。たとえば食べログのネット予約は、ディナー200円×予約の人数、ランチ100円×予約の人数(税抜・固定費0円・食べログの店舗向けの公式ページ)。予約のある店には分かりやすい仕組みです。
けれど、ふらっと入るお客さんが中心のラーメン店では、そもそも予約がほとんど入りません。お客さんが動くのは「今、近くで、開いている店」を探した時です。その時に開くのは、多くの場合スマホの地図です。ラーメン店の集客は、予約の前の「その場」で決まる。ここが、ほかの業種の集客の記事と一番違う所です。
「ラーメン 集客」で上に出る記事を3本読むと、看板・チラシ・SNS・グルメサイト・Googleマップ・LINEを並べて紹介していました。けれど、材料の値上がりや倒産の今の数字、予約を取らない業態であること、ラーメン店の口コミの中身にまで触れた記事はありませんでした。
2,627店を数えて分かった差
当社は2026年10月から、全国68都市のラーメン店2,627店の Google の情報を数えました(チェーン店を含みます。ある時点で数えた数字で、真ん中の値です)。
- 星は、どこで分けても4.1。投稿のある店もない店も、口コミの多い店も少ない店も、真ん中の値は4.1(4.0〜4.2)でした。星だけでは差がつきません
- 口コミが月5件以上増える店(586店)は、一覧の位置が14番目。月1件未満の店(1,321店・全体の約半分)は25番目でした
- お知らせを投稿している店は944店(36%)。投稿のある店の口コミは月5.0件、ない店は月0.6件。一覧の位置は18番目と21番目でした
- サイト・電話・投稿・メニュー・予約・紹介文・写真10枚以上の7つのうち、5つ以上そろっている店(298店)は口コミが月6.2件、2つ以下の店(974店)は月0.6件でした
もう1つ、口コミの中身にも差がありました。口コミが月1件未満の店では、最新20件のうち90.8%が「ローカルガイド」(口コミをたくさん書く人)の投稿で、79.9%が品名や味の話でした。月3件以上増える店(735店)では、それぞれ68.2%と62.0%です。
ここからは当社の見立てですが、口コミの増えない店は、ラーメン好きの書き手だけが書いている状態に近いのだと思います。増えている店では、ふつうのお客さんも書いている。どれも「投稿したから増えた」とまでは言えません。手入れをしている店ほど、口コミも動いている、という数字です。
今日、自分で直せる3つ
1. 写真とメニュー:入る前に「味の見本」を見せる
味で選ぶお客さんは、写真で味を想像します。看板の1杯、券売機かメニュー表、外観、店内のカウンターの4枚を、お店から足しておきます。メニューに値段を入れておくと、値上げの後も「思ったより高い」を減らせます。
2. 投稿:スープ切れ・限定・休みを、地図で知らせる
「スープがなくなり次第終了」「今週の限定」「臨時休業」。ラーメン店には、その日だけの知らせが多くあります。これを地図の投稿に出しておけば、来る前に分かります。投稿している店は36%なので、まだ多くの店が手を付けていない所です。祝日の営業時間を確かめていない店も2,119店(81%)ありました。入れ方は「祝日・年末年始の営業時間、Googleマップに入れていますか」に書いています。
3. 口コミ:全員に、同じようにお願いする
お会計の時やカウンターに、口コミのページへの QR コードを置き、どのお客さんにも同じようにお願いします。
「口コミを書いたら味玉無料」はやめる。Google は、口コミと引き換えに無料や割引の品を出すことを「固く禁じられています」と書いています。星の数を条件にした特典は、景品表示法のステルスマーケティングの規制にも当たります。特典は付けない、星を指定しない、全員に同じく頼む。この3つを守れば、お願いすること自体は Google がすすめているやり方です。
付いた口コミへの返事は、書く店がまだ少なく、ラーメン店で返事をしている店は738店(28%)でした。書き方は「口コミの返信、例文と『返す店・返さない店』の差」にまとめています。
まとめ:値上げの前に、地図の顔を直す
材料が上がり、値上げは避けにくい。だからこそ、初めてのお客さんが入る前に見る所を先に整えておく。写真とメニューで味の見本を見せる。その日だけの知らせを投稿する。口コミは全員に同じく頼む。ここまでは今日、1人でできます。
その先に手を入れるのは、払うのをやめても残る所です。口コミ・写真・返事・お知らせは、掲載料や広告と違い、払うのをやめた月に消えません。やめたら途絶える集客を、来年も残る集客へ。続け方は下のページにまとめました。
掲載料や広告は、払うのをやめた月に止まります。Googleマップの口コミと写真は、お店に残ります。
出典:東京商工リサーチ(2025年度の「ラーメン店」倒産・2026年4月8日)・帝国データバンク(2025年のラーメン店倒産・ラーメン原価指数・2026年1月10日)・帝国データバンク(ラーメン店市場・2026年7月1日)・日本政策金融公庫(生活衛生関係営業の景気動向等調査 2026年4〜6月期)・中小企業基盤整備機構 J-Net21(ラーメン店の消費者調査・2023年7月・1,000人)・食べログ ネット予約のご案内(店舗向け)・Google ヘルプ(禁止および制限されているコンテンツ)・消費者庁(ステルスマーケティングの規制)(すべて2026年11月4日に確認)。倒産の件数は、調べた会社と期間(年度・暦年)で違います。店主の声は Yahoo!知恵袋の相談を2026年11月4日に開いて引きました。お店の数は、当社が2026年10月から全国のカフェ・ラーメン・居酒屋・整体・美容室14,504店の Google の情報を数えたうちの、ラーメン店2,627店の結果です(チェーン店を含む・ある時点で数えたもの・中央値)。